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電話代行の仕事を長くしておりますと、様々な事を体験します。例えばオペレーター業務では通常のビジネス電話だけでなく、クレーム電話や金銭的なトラブルの電話、詮索の電話など、お電話してきた方とご利用者企業の間で起こった様々な内容のお電話が来ます。また管理業務をしている私の場合は、電話代行サービスの新規お問合せや既存のご利用者から質問やご要望を受けるだけでなく、当社への苦情の電話を受けることもあります。
気持ちの良いご連絡もあれば、神妙なお電話、不快なお電話など様々です。これらを毎日受けていると精神的に苦しくなることがあります。特にオペレーターは自分の非でなく、当社顧客の不手際のことで頭ごなしに怒鳴られたり、長い時間文句を言われて涙を流すスタッフを見ることもあり、仕事とはいえ、いたたまれない気持ちになります。サービス業なので多かれ少なかれ苦痛を受けることになってしまうのは致し方ないのですが、自分自身や自分の会社の問題でないことで、怒られたりネチネチ言われたりするのはこの電話代行業界では避けられません。
もちろん嫌なことばかりではありません。ごく普通の内容のお電話を受けるほうが圧倒的に多いので、傷んだ気持ちを時間を掛けて少しずつ回復させているようなところもあります。
この仕事を長く続けるコツの1つとして、「鈍感力を持つ」ことです。鈍感力とは仕事に身を入れずにテキトウに行なうという意味ではありません。相手の言葉の一言一言に一喜一憂しないことです。感情移入をしてしまうと自分自身がボロボロになってしまうので、「私のことが否定されている訳ではないんだ。」と心の奥で思って、仕事として割り切ることです。これは理想論でも綺麗ごとでもなく、現実問題として自分を守るために必要なことです。
自分の心の健康を保る術を身に付けないと、この仕事を長く続けることは困難です。一人で不安や苦痛を抱えず、同じ仕事をしている同僚間で話をしたり、相談し合ったりすることも必要です。また会社側のサポートも重要です。当社がいくら頑張ってもご利用企業側でトラブル電話が減らない限り何も改善しませんので、トラブルメーカーの会社の代行契約を終了させていただくこともあります。
一方で、女性は男性以上に強い精神力を持っていると感じることもあります。私は男ですが、あれだけ長い時間謝罪をし続ける姿を見ると「すごい!」と思います。電話オペレーターは女性のほうが合っていると思えるのは、もしかしたら女性のほうがこの仕事への順応性が高く、「鈍感力」を自然と養っているのかもしれません。
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